こんにちは、お金を貯めるくまです。
仕事の合間に業務で購入した本をこっそり読んでいたら、とてもよかったのでご紹介します。(仕事しろ)
要約を目的としない気ままな読了日記ですので悪しからず。
宇田川 元一 著『他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論 』
本書は『組織とは結局「人間関係」だ』(意訳)、という序文で始まります。(かなり意訳です)
これに共感する人、あるいは痛いところ突かれたと思う人、嫌だなぁと思う人は、ぜひぜひ読んで欲しい。
私は共感しつつ嫌だなぁと思ったよ。
人と固有の関係を築く
本書の序盤で著者は他者との関係性を
・「わたしとそれ」の道具的な関係
・「わたしとあなた」の固有の関係(替えのきかない関係)
の2つを提示しています。
相手(他者)を思い通りに動かそうとするのが道具的な関係。
相手の状況や置かれた立場を理解しようとするのが、固有の関係。
これを読んだとき、私は「わたしとあなた」の関係を一体いくつ築けているだろうか、と正直ぞっとしてしまいました。
これは私の考えですが、同じ案件に対応しても、クレームに発展する人としない人がいます。
後者の人はクレーマーと仲良くなっていることすらあります。
これは、相手を役割で認知して道具的に扱ってしまう人と、
相手を1人の人として認知して固有の関係を築ける人の違いなのではないかと思いました。
あと全然関係ないかもしれんけど、藤原基央は「みんなって言ってもひとりひとりだよ一人ずつなんだよ」ってことをよくMCで言ってるイメージがあるので、固有の関係を認知する力がめちゃくちゃ強いってことか。わかりみ。
上司が無能だからMBAをとる
もう一つ、本の中の印象的なエピソードをご紹介します。
著者が大学でMBAの社会人クラスを担当していたとき、必ず受講者に「どうしてMBAをとりたいのですか」と目的を尋ねていました。
するとある受講者が「上司が無能だからMBAを学びにきた」と答えたそうです。
このエピソードは本の中でも数度にわたって触れられるのですが(目次にもなっている)、はじめ著者は「上司の不理解とMBAの取得」になんの関係があるのか、本当にわからなかったそうです。ピュア。
受講者の「上司は敵。MBAという武器で自分の優秀さを知らしめて打ち負かしたい」という本意を知ったとき、「きっと彼はそれが成功したとしても組織の中に敵を作り、別の適応課題(関係性の中で生まれる問題)を抱えることになるだろう」と思ったそうです。
本書では適応課題を「なぜあいつは分からないんだ」ではなく、「どうして分かり合えない状況が生まれるのか」をじっくり観察すること、自分の事情や正義を一旦置いておいて、相手の背景と文脈を理解しようとすること=ナラティヴ<解釈の枠組み>によって解決していく方法が語られています。
その具体的なところは、私の手に余るので読んでほしい。
対話に挑むことは組織の中で「誇り高く生きること」
とはいえ、著者は万人と対話しろと言っているわけではありません。
太公望の「全勝は闘わず、大兵は創つくことなし」という言葉を引用して、対話とは不要な対立を避けるための手段であり、対立を避ける(戦わない)もうひとつの手段は逃げることだとも書かれています。
それでも対話と迎合の違いが書かれた章では、対話することにめんどくささを感じる気持ちに、ぴしゃっと定規を当てられるような、変な例えだけど、ちょっと自分を強くしてくれる言葉が並んでいます。
対話に挑むことは組織の中で「誇り高く生きること」
孤独を大切にするためには、孤立してはならない
など。このあたり、自分で本を買ってよく読んでおきたいです。(そうこれは会社の資料)
おわりに
著者は、この本とは別の新刊インタビューにて「あの本(他者と働く)は、よくも悪くも「思想的な本」だったと思います。」と語っています。
確かに昨今のビジネス本には珍しく、「〇〇すればこうなる!」みたいな単純な明示はありません。
そのため自分の胎に落とし込むまで時間がかかるかもしれません。
でも読み返すことで、そのとき必要なことが導かれていく、そんな良書のような気がします。
著者インタビュー
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